東京高等裁判所 昭和27年(う)705号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
(爭点)
被告人が物価統制令違反の行為を法人の代表者として犯したとき、被告人に対する判決に同令第四〇条の規定を適用していないのは擬律錯誤であると、論旨は非難している。
(判旨)
物価統制令第三条第一項に「価格等ハ其ノ統制額ヲ超エテ契約シ、支払ヒ又ハ受領スルコトヲ得ズ」と規定するのは、自然人のみならず、法人に対してもかかる行為を禁止している趣旨であること疑なく、しかも法人についてはその行為を実際担当するのはその代表者なのであつて代表者の行為がすなわち法人の行為にほかならないのであるから、同条の禁止は同時にまた法人の代表者に対しても向けられていると解するのでなければ意味をなさない。してみれば、被告人が法人の代表者として小麥粉を統制額を超えて買い受けた行為は、まさに右第三条の規定に違反したもので、同令第三十三条第一号の「第三条ノ規定ニ違反シタル者」という構成要件に直接該当するというべきであるから、右の所為につき被告人を処罰するにはあえてそのほかに同令第四十条を適用する必要はないわけである。
(説明)
なお本判決は右に引続いて判例集未登載の最高裁二四(う)第一〇八三号同年一二・三第二小法廷判決を引用している。判旨は正当であらう。同令第四〇条を適用する必要のあるのは法人の代表者が行為者として処罰される場合ではなく、むしろ法人自体がその代表者、代理人、使用人その他の従業者かその法人の業務に関し違反行為をしたことに基づき処罰される場合においてであると理解すべきである。